「着物をきて、伝統芸能を観劇したい」というのが、わたしの子供の頃からの夢であり、あこがれです。わたしは舞台芸術が大好きで、どんな種類のものも分け隔てなく、ジャンルを超えて観にいくことが楽しみです。
楽しむポイントはいくつかあって、「観にいく場所にあわせたおしゃれ」をすることもそのひとつです。劇場の生きた空間というのは不思議なもので、私たち観客自身もその空間の一部として他者に影響を及ぼし、及ばされます。それがまた、その場にいることに「わくわく」や「どきどき」した気持ちを味あわせてくれます。薔薇の花がモチーフの作品には、さりげない赤のアクセサリーをとりいれたり、作品の時代背景にあわせた服装選びをしたり。そういったひとつひとつが、劇場での時間だけでなく、思いついたその時から日常の日々に楽しさや彩りをそえてくれます。
そんな私がずっと抱いているのが、「華やかな歌舞伎を着物で鑑賞してみたい」という気持ちです。こんな気持ちを抱く人はけっこう多いようで、私の友人たちもそんな気持ちをもっているようです。
「凛とした、華やかさ」「淑やかさの中の可愛らしさ」を劇場でみかけるのと、この上なくうれしい心持ちです。
そんな経験からも、「ぜひわたしも挑戦してみたい」と思い、いろいろ調べたり、準備をしてみたことも実はありました。しかし、古式ゆかしい粋な美、の世界には「暗黙のルール」みたいなものが横たわっているらしく、それを耳にするとつい腰が引けてしまい、花火大会の浴衣くらいしか縁のない、まったく初心者の私には手が出せませんでした。観劇の服装なんて個人の自由という論も確かにわかるのですが、わたしがあこがれるのは外側の形ではなく、内側からの美しさ。目に見えない部分も大切にしたいのです。
そんなとき、友人から提案されたのが、「銀座」で「着物レンタル」を利用し、目を養う方法。着物レンタルを銀座でできるなんて、まったく知らなかったので、これはうれしい情報でした。銀座といえば、観劇好きにはまず「歌舞伎座」のある場所として、また品のある街としてのイメージ。まるで息をするように自然に銀座に根付いている着物レンタルのお店なら、わたしのような人間からの信頼感は抜群です。
銀座を着物で散歩する、そんな小さなけれど大切な、わたしだけの楽しみの時間のための秘密です。